営業職は「売る人」というだけではない|会社と市場をつなぐ本当の役割を解説します
営業職と聞くと、
「売る仕事」
「ノルマが厳しい仕事」
というイメージを持つ人が多いです。
実際に営業として働いていると、「自分の仕事は会社の中でどう評価されているのか分からない」と感じることもあります。
“営業おじさん”です。元採用面接官として、これまで100人以上の営業志望者と向き合ってきました。

本記事では、営業職は「売る人」というだけではなく、会社と市場をつなぐ重要な仕事であることを、構造的に整理して解説します。
✅ この記事を読むメリット
- 営業職が会社で果たしている役割を整理して理解できる
- 営業が評価されにくい理由が分かる
- 営業の仕事を冷静に判断できるようになる
営業という仕事に違和感や不安を感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
営業職は「売る人」というだけではなく、会社と市場をつなぐ仕事

営業職の仕事は「売ること」から始まります。これは事実です。契約を取り、売上をつくり、会社にお金をもたらす役割を担っています。
ただし、営業の仕事を「売る人」とだけ捉えてしまうと、実際に会社の中で果たしている役割の大部分が見えなくなってしまいます。
営業は単に商品を売る存在ではなく、会社と市場の間に立ち、両者をつなぐ役割を担っている仕事です。
営業は「会社の価値」を市場に伝える役割を担っている
会社がどれだけ良い商品やサービスを持っていても、その価値が市場に正しく伝わらなければ、存在しないのと同じです。
営業は、会社が生み出した価値を、顧客が理解できる形に変換し、伝える役割を担っています。
具体的には、次のような働きをしています。
これらは単なる説明作業ではなく、会社の価値を市場に届けるための重要な工程です。営業がいなければ、会社の価値は社内に留まり続けてしまいます。
市場の反応を会社に持ち帰るのも営業の仕事
営業の役割は、外に向かって話すことだけではありません。市場の反応を会社に持ち帰ることも、重要な仕事の一つです。
営業は日々、顧客と直接接する中で、次のような情報を得ています。
- 商品に対する率直な評価
- 価格や条件に対する不満や要望
- 競合との比較で見えてくる差
これらの情報は、商品開発やサービス改善、方針見直しの材料になります。営業は会社の中で、最も市場に近い立場にいる存在です。
だからこそ、外の世界で起きていることを社内に伝える役割も担っています。
営業は「お金が生まれる流れ」を成立させている
会社の活動は、最終的にお金が回ってはじめて継続できます。営業は、その流れの最後を担う仕事です。
この一連の流れを成立させているのが営業です。数字だけを見ると結果しか見えませんが、その裏では調整や説明、信頼関係づくりが積み重ねられています。
営業は、会社の活動を「事業」として成立させるための重要な役割を担っています。
営業の仕事は売ることだけで終わりません。会社と市場の間に立ち、価値とお金が正しく行き来する状態をつくることが、本来の役割です。

👉 営業に行くかどうか迷い続けて時間を無駄にしたくない方は、次の記事も参考にしてください。
なぜ営業の役割は正しく理解されにくいのか

営業職が会社にとって重要な役割を担っているにもかかわらず、その価値が正しく理解されないことは珍しくありません。
これは営業個人の問題というよりも、仕事の性質と会社の仕組みが生み出している構造的な問題です。
ここでは、営業の役割が誤解されやすい理由を整理します。
成果が「数字だけ」で語られやすい構造
営業は成果が数値で示されやすい仕事です。売上や契約件数といった数字は分かりやすい一方で、そこに至るまでの過程は評価されにくくなります。
たとえば、次のような働きは数字に表れにくいものです。
結果として、「数字=すべて」という見方が強くなり、営業の役割が単純化されてしまいます。これが、営業の仕事が軽く見られやすい一因です。
営業職の役割|よくある誤解と実際の役割の整理表
| 一般的な認識 | 実際の営業の役割 | 会社にもたらす影響 |
|---|---|---|
| 売るだけの仕事 | 会社の価値を市場に伝える役割 | 商品・サービスの価値が正しく伝わる |
| 数字を追う人 | 顧客との調整・納得形成を担う | トラブルやクレームの防止 |
| 成果がすべて | 市場の反応を会社に持ち帰る | 改善点や方針見直しにつながる |
| 押しが強い人向け | 相手の立場を理解し関係を築く | 継続的な取引・信頼関係の構築 |
仕事の中身が社内から見えにくい
営業は社外で活動する時間が多く、仕事の過程を社内で共有しにくい職種です。
社内にいる人から見ると、「外に出ている」「電話している」といった表面的な行動しか見えません。
そのため、
- どんな説明をしているのか
- どんな調整をしているのか
- なぜ時間がかかっているのか
こうした部分が理解されないまま評価されることがあります。
営業の仕事は、見えない部分ほど重要ですが、その見えなさ自体が誤解を生む原因になっています。
期待と現実のズレが「向いていない」という思い込みを生む
営業職には、「話がうまい人が向いている」「押しが強い人が成果を出す」といったイメージが先行しがちです。
しかし実際には、調整力や継続的な対応、相手の立場を理解する力が求められます。
このズレによって、
思っていた仕事と違う
自分には向いていないのではないか
と感じる人が増えます。本来は役割の理解不足による違和感であっても、本人の適性の問題として処理されてしまうケースが多いのです。
営業が誤解されやすいのは、仕事の価値が低いからではありません。構造上、伝わりにくいだけなのです。

営業職が会社にもたらしている本当の価値

営業の役割は、売上をつくることだけではありません。むしろ本質的な価値は、売上という結果の「手前」と「その先」にあります。
ここでは、営業が会社にもたらしている本当の価値を、仕事の実態に沿って整理します。
売上の前段階で会社を守っている
営業の仕事は、契約が成立する前から始まっています。顧客が納得してお金を支払うまでには、多くの調整や確認が必要です。
- 誤解が生まれないように条件を丁寧に説明する
- 無理な要望に対して現実的な線を提示する
- 後から問題になりそうな点を事前に潰す
こうした対応は、売上としては見えませんが、トラブルやクレームを防ぎ、会社の信用を守っています。
営業は、売上を増やすだけでなく、余計な損失を出さない役割も担っています。
会社の改善につながる情報を集めている
営業は、市場に最も近い立場で仕事をしています。そのため、数字には表れない重要な情報を日常的に得ています。
具体的には、
これらの情報は、商品やサービスの改善、価格設定の見直し、方針転換のヒントになります。
営業が持ち帰る情報は、会社が次にどう動くかを判断するための材料です。
会社と顧客の関係を長期的に支えている
営業は、一度売って終わりの仕事ではありません。継続的な関係を築くことで、会社と顧客の信頼を積み重ねています。
困ったときに最初に相談される存在になる
追加の提案や紹介につながる
長期的な取引として安定する
こうした関係性があることで、会社は短期的な売上に振り回されにくくなります。営業は、会社の事業を安定させる役割も果たしています。
中小企業白書でも、企業が持続的に成長するためには顧客との関係性や付加価値の提供が重要であると示されています。引用元:中小企業庁
営業の価値は「向いているか」では測れない
営業の仕事は目立ちにくく、評価も分かりづらいため、「向いている・向いていない」という話にすり替えられがちです。
しかし実際には、営業が果たしている役割は会社全体に影響しています。
- 売上を生む
- 損失を防ぐ
- 改善のヒントを持ち帰る
- 関係を継続させる
これらを同時に担っている仕事は多くありません。営業の価値は、単純な適性論では測れないものです。
営業の仕事は結果だけを見ると分かりにくいですが、会社が続いていくために欠かせない役割を確実に担っています。

👉 未経験で営業に行く前に、最低限外せない条件を整理しておきたい方は、次の記事も参考にしてください。
まとめ|営業職が会社で果たしている本当の役割

営業の役割を理解するために押さえておきたいポイント
- 営業職は「売る人」というだけではなく、会社と市場をつなぐ役割を担っている
- 売上だけでなく、調整・情報収集・関係構築を通じて会社を支えている
- 営業の仕事が誤解されやすいのは、構造上見えにくい部分が多いからである
営業という仕事は、結果だけを見ると単純に見えがちです。しかし実際には、会社の価値を市場に届け、市場の声を会社に持ち帰り、事業が続く状態を整えています。
役割を正しく理解すると、「向いていないのではないか」という不安の多くは、仕事そのものではなく、認識のズレから生まれていることが分かります。
営業は数字や結果で目立ちやすい仕事ですが、会社が成り立つために欠かせない役割を担っています。

