営業職のゴールは「売上」だけなのか?契約後まで含めた本当の仕事を解説
営業職と聞くと、
「契約を取って売上を上げる仕事」
そう思っている人も多いのではないでしょうか。売上が立てば、それで営業の仕事は終わりだと思っている人も少なくありません。
“営業おじさん”です。元採用面接官として、これまで100人以上の営業志望者と向き合ってきました。

本記事では、営業職のゴールは「売上」だけなのかという疑問を整理し、契約時点で決まること、契約後に求められる役割まで含めて解説します。
✅ この記事を読むメリット
- 営業の仕事がどこまでなのか分かる
- 売上・粗利・契約後の関係が整理できる
- 営業職を現実的に判断できるようになる
営業という仕事を正しく理解したい方は、ぜひ最後まで読んでください。
営業職のゴールは「売上」だけだと思われがちな理由

求人や評価制度が与えるイメージ
未経験者が最初に触れる営業情報の多くは、求人票や転職サイトです。
また、評価制度も売上を基準に設計されているケースが多く、表面的には「契約を取ったかどうか」だけが評価されているように見えます。
この段階では、粗利や契約後の話はほとんど見えてきません。
外からは「契約まで」しか見えない
営業の仕事は、顧客と接点を持ち、契約をまとめるところまでが目立ちます。契約書にサインをもらう場面は分かりやすく、成果としても象徴的です。
一方で、契約後に何が起きているのかは、社外の人には見えません。
そのため、「売上が立った時点で仕事は終わり」という理解が広まりやすくなります。
未経験者ほど誤解しやすいポイント
営業未経験者は、営業の仕事を判断する材料が限られています。
- 営業は契約を取るまでが仕事
- 契約後は別の部署が対応する
- 売上さえ立てば評価される
これらは一部では事実ですが、営業の仕事全体を表しているわけではありません。
この誤解を前提に営業職を考えると、入社後に「思っていた仕事と違う」と感じやすくなります。
売上が重視される仕事であることは事実ですが、それだけを営業のゴールだと思い込むと、仕事の全体像を見誤りやすくなります。

👉 未経験で営業転職を考える中で、考えても前に進まない悩みを整理したい方は、次の記事も参考にしてください。
契約時点で決まる売上と粗利の関係

営業の仕事を考えるうえで重要なのが、売上と粗利は「契約時点でほぼ確定する」という点です。
売上は契約金額として分かりやすく見えますが、会社が本当に重視しているのは、その契約によってどれだけ利益が残るかという部分です。
この違いを理解していないと、営業の評価や仕事の難しさを正しく捉えることができません。
売上総利益(粗利)とは、売上高から売上原価を差し引いた利益のことです。企業が本業でどれだけ利益を出しているかを示します。引用元:弥生株式会社「売上総利益(粗利)とは?」
売上と粗利は同時に決まる
見積金額、原価、外注費、値引き条件などはすべて契約前に調整されており、契約後に大きく修正できるものではありません。
つまり、どれだけの利益を残せるかは、契約前から契約時点までの営業判断にかかっています。売上だけを見ていると、この重要な視点が抜け落ちます。
なぜ粗利が軽視されがちなのか
現場では、売上が目に見える成果として扱われやすいため、粗利は後回しにされがちです。
特に数字に追われる状況では、「まずは契約を取る」という判断が優先されやすくなります。
- 売上は立っているのに利益が薄い
- 値引きや条件調整で粗利が削られている
- 契約数は多いが会社に残る金額が少ない
これらは営業個人の問題というより、売上だけを成果として捉えてしまう構造が生み出すものです。
粗利を意識する営業が評価されやすい理由
会社視点で見ると、売上よりも粗利の方が経営に直結します。
そのため、契約段階で無理のない条件をまとめ、安定した粗利を確保できる営業は、長期的に見て評価されやすくなります。
売上を立てることと、粗利を守ることは対立するものではなく、どちらも営業の仕事の一部です。
契約は売上を作る行為であると同時に、利益をどう残すかを決める場面でもあります。ここを意識できるかどうかで、営業としての見られ方は大きく変わります。

契約後に求められる営業の役割と責任

契約が成立すると、営業の仕事は一区切りついたように見えます。しかし実務では、ここから先も営業の関与が続きます。
商品やサービスが契約内容どおりに提供され、問題なく完了するかどうかは、営業の判断や説明の積み重ねに左右される部分が大きいためです。
契約後の工程を切り離して考えると、営業の仕事を正確に理解したことにはなりません。
営業職の仕事はどこまで?売上・粗利・契約後の関係整理表
| タイミング | 営業が関与する主な内容 | この時点で決まるもの | 注意点・見落とされがちな点 |
|---|---|---|---|
| 契約前 | ヒアリング、提案、条件調整、見積作成 | ― | 要望を優先しすぎると、後工程で無理が出やすい |
| 契約時 | 条件確定、金額合意、契約締結 | 売上・粗利 | 値引きや条件変更で利益が圧迫されることがある |
| 契約後 | 提供内容の確認、社内外調整、対応フォロー | ― | 提供や運用が滞ると、信頼や評価に影響する |
契約内容と実際の提供をつなぐ役割
契約時点では、条件や仕様、納期、対応範囲などが言葉や書面で整理されます。ただし、それが現場や運用段階で正確に再現されるとは限りません。
営業は、契約時に合意した内容を関係者に正しく伝え、ズレが生じないように調整する役割を担います。
この橋渡しが弱いと、後工程で問題が起きやすくなります。
トラブルが起きたときに営業が関わる理由
契約後に発生するトラブルは、必ずしも営業のミスとは限りません。ただし、顧客から見れば、最初に話をした営業が窓口になるケースが多くあります。
具体的には次のような場面です。
こうした状況で営業が完全に手を離してしまうと、信頼関係が一気に崩れます。契約後の対応も含めて営業の仕事だと考えた方が、現実に即しています。
契約後まで含めて評価される理由
会社側の視点では、契約が無事に完了し、問題なく提供が終わって初めて一件の仕事が成立します。
契約後にトラブルが多発すれば、対応コストや手直しが発生し、結果として利益が圧迫されます。
そのため、契約後の流れまで想定した営業は、数字以上に評価されやすくなります。
契約後まで見通せるようになると、営業は一気にやりやすくなります。仕事を自分でコントロールできている感覚が出てきます。

✅ 契約後まで想定できていなかった経験
私自身、売ること自体は得意でした。ただ、当時は契約後の工程を軽く見ていました。
リフォーム営業は、契約して終わりではなく、完工や回収まで時間差があります。その中で説明や想定が甘いと、後からトラブルになりやすい。
しばらくしてから、営業の仕事の範囲を誤解していたと気づきました。
👉 営業未経験で自分に活かせる強みがあるのか知りたい方は、次の記事も参考にしてください。
まとめ|営業職のゴールは「売上」だけなのか?

営業の仕事を正しく理解するための整理ポイント
- 営業は契約を取って売上を上げる仕事である
- ただし、契約時点で売上と同時に粗利も決まっている
- 契約後には、商品やサービスを問題なく提供する役割が残る
- 完工や回収まで含めて、一件の仕事が完了する
営業職は「売上がすべて」と思われがちですが、実際の仕事はそこでは終わりません。売上は重要な指標でありながら、同時に次の工程が始まる合図でもあります。
この全体像を知っているかどうかで、営業職への向き合い方は大きく変わります。
営業は楽な仕事ではありません。ただ、仕組みが分かると「面白い仕事」に変わっていきます。

